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第26回

奨励賞

東京駅八重洲口開発グランルーフ

建物名称 東京駅八重洲口開発 グランルーフ
所在地 東京都千代田区丸の内 1-9-1
建築主 東日本旅客鉄道株式会社/三井不動産株式会社
設計者 東京駅八重洲開発設計共同企業体 (日建設計/ジェイアール東日本建築設計事務所) (デザインアーキテクト JAHN)
施工者 東京駅八重洲開発中央部他新築工事共同企業体 (鹿島建設、鉄建建設)
建物規模 建築面積 12,792.54m2 (グラントウキョウノースタワーを含む) 延床面積 14,144.79m2(グランルーフのみ) 階数 地下3階、地上4階 最高高さ 27m
用途 駅施設、店舗、駐車場
主要構造 地上:鉄骨造 屋根:骨組膜構造 地下:RC造、SRC造

グランルーフは、軽快な大屋根と滑らかなフォルムのダイナミックな鉄骨フレームにより「光の帆」を表現し、東京駅八重洲口の新しい顔となる建築である。ヘルムート・ヤーン氏によるデザインコンセプトは「SailofLigh(t光の帆)」、構造体そのものによる建築表現を、日本の条件に適合させつつ、日本国内の様々な製造者の技を丹念に集め実現させたものである。

新しい時代を感じさせる清新で明るい白い帆を駅の高みに浮遊させ、人々を優しく包み込む空間をめざした。あたかも大きな一枚の布のように広がった膜屋根で、八重洲口の南北に位置するシャープで軽快なデザインのふたつのクリスタルタワー(グラントウキョウノースタワー・サウスタワー)をつなぎ、新たな都市景観を創出している。

大屋根の前面を角度を変化させながら大きく傾けたスレンダーな柱で支持することで、躍動感ある形態を表現し、背後の安定感のある大型鉄骨フレームによる静との対比により、ダイナミズムを一層強調した。
大屋根は長辺方向に、屋根の中央を貫く3本のスパインビームにより結ばれ、両端に設けた反力トラスとともにエッジケーブル張力と 屋根膜の導入張力を閉じる自締型の機構となっている。屋根面の地震力はメインフレーム側に負担させることで、前面斜柱を細く・軽やかにしている。長辺方向は偏心の影響で前面斜柱側が大きく振られるので、ノースタワーとオイルダンパーで接続し、温度応力を拘束せずに地震時応答の低減を図っている。

膜屋根は、大規模な屋根では珍しい、下張りの骨組み膜構造である。屋根大梁スパン(18m)間を1枚の膜面で構成し、屋根大梁下部をアルミファスナーによる固定膜方式、長辺方向端をエッジケーブル境界とする膜構造である。膜の中間支点となる屋根大梁スパンの中間2か所のストラットビームは膜のエッジケーブルの中間支点でもあり、エッジケーブルのサグを抑え、駅前広場前面と背面エッジをほぼ真直に見せることで、大屋根の浮遊感を一層高めている。エッジの効いた部材で構成されたシャープなノース・サウスタワーに対して、主要部材を円形または円形とR型コーナー付角形を組合せたプレスベンド異形鋼管とし、膜にふさわしい細く柔らかい形により意匠性を高めた。構成要素を絞り込みシンプルでダイナミックな大屋根架構が実現した。

異形管のプレスベンド加工、逃げの少ない鉄骨架構の製作・建て方、鋳鋼ノード、膜屋根の施工など、いわば日本のモノづくりの技を集めて作り上げた建築である。

吉江 慶祐

/ 生年月日 /
1965年7月8日(愛知県生まれ)
/ 出 身 校 /
東京工業大学 理工学研究科建築学専攻修士課程 修了
/ 学位 /
博士(工学)
/ 主要職歴 /
1990年4月 株式会社日建設計 入社
現在 同 エンジニアリング部門 構造設計グループ 構造設計部長
/ 主要作品 /
晴海アイランドトリトンスクエア・オフィスY棟
新潟スタジアム(ビッグスワン)
地球環境戦略研究機関(IGES)
三井住友銀行本店ビルディング
グラントウキョウノースタワー

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