JSCA賞 受賞者JSCA AWARD WINNERS
第28回
作品賞
市立吹田サッカースタジアム
建物名称 | 市立吹田サッカースタジアム |
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所在地 | 大阪府吹田市千里万博公園3-3 |
建築主 | スタジアム建設募金団体 |
設計者 | 株式会社 竹中工務店 大阪一級建築士事務所 |
施工者 | 株式会社 竹中工務店 大阪本店 |
建物規模 | 建築面積 24,695.51m² |
述床面積 | 63,908.71m² |
階数 | 地上6階 |
建物高さ | 40.33m |
用途 | サッカー専用スタジアム |
主要構造 | RC造、PRC造、S造 |
本建物は、Jリーグに加盟するガンバ大阪の新しいホームスタジアムとして建設され、サポーター並びに企業からの寄付金と助成金のみを建設資金とした、日本で初めてのスタジアムである。収容人数40,000人はサッカー専用スタジアムとしては西日本最大の規模であり、国際サッカー連盟(FIFA)主催のワールドカップのスタジアム基準を満たしている。
降雨時の観戦環境を改善するため、すべての観客席を覆う屋根が計画された。スタンド内に柱を設けずロの字形状の屋根を支えるために、トラスを長辺・短辺・45°の3方向に架ける「3D トラス構造」を適用した。この架構方式によって、トラススパンは井桁方式に比べて半分の約100mになり、構造合理性の高い屋根構造を実現した。
約23,000m2の屋根は、スタンド上部に設置した高減衰ゴム系積層ゴム支承8基と直動転がり支承8基の計16基の免震装置で支持されている。屋根免震構造とすることで、屋根鉄骨量が大幅に削減され、懸垂物の落下に対する安全性も高くなっている。また、トラス支持部に生じるスラスト力が低減されるので、屋根トラスを受ける柱断面が縮小でき、スタンド構造の平面計画の自由度も向上している。
スタンド構造では、PRC梁とFc200N/mm2の超高強度コンクリート柱を採用することで、開放的な建築空間を創造した。コンコース部分は、10.75mスパン梁にPRC梁を適用し、 RC梁とした場合に比べて柱を1列少なくし、広々としたコンコースを実現した。また、上段席についても、外部側への跳ね出し長さが大きいため、PRC梁を採用して断面寸法の低減とひび割れの抑制を図った。上段席PRC梁にはPCa部材による圧着工法を採用して、施工効率を向上させると同時にコンクリート打放しの美しい外観を形成させた。
施工面における特徴の一つが、基礎構造の大部分をPCa化したことである。基礎のPCa化率は90%で、在来工法と比べた現場労務職の削減率は85%減と圧倒的な省人化を達成した。上部構造においては、柱はシステム型枠を用いた在来工法とし、小梁および柱梁接合部を含む大梁をPCa化した。 柱とPRC大梁の接続は、柱梁接合部に柱主筋用貫通孔を設け、柱主筋を通した後にグラウトを充填する方法で行った。このPCa工法を活用したスタンドの構造システムは、高い生産性と短工期の実現に大きく貢献した。
奥出 久人
/ 生年月日 /
1965年1月6日(滋賀県生まれ)
/ 出身校 /
明治大学大学院
工学研究科建築学専攻 修了
/ 主要職歴 /
1989年 株式会社竹中工務店 入社
/ 主要作品 /
大阪ドーム・スーパーリングシステム / 大分県スポーツ公園メインスタジアム / 大阪ガス和歌山ビル / 北花田グランアヴェニュー6号棟 / 関西医科大学附属枚方病院 / 上海万博日本館