JSCA賞 受賞者JSCA AWARD WINNERS
第28回
新人賞
TOYAMAキラリ
建物名称 | 富山市西町南地区第一種市街地再開発事業 施設建築物 (TOYAMA キラリ) |
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所在地 | 富山県富山市西町5番1号 |
建築主 | 西町南地区市街地再開発組合 |
設計監理 | RIA・隈研吾・三四五設計共同体 |
施工 | 清水・佐藤施工共同体 |
建物規模 | 建築面積 3,433m2 延床面積 26,792m2 |
階数 | 地下1階、地上10階 最高高さ 57.21m |
主要用途 | 事務所、美術館、図書館 |
主要構造 | S造(一部CFT造) |
TOYAMAキラリは、富山市民・県民より永く親しまれてきた、富山市中心部の百貨店跡地に計画された第一種市街地再開発事業の建築物であり、地元銀行本店、市立ガラス美術館・図書館が入居する複合用途の施設である。建物は、内観『斜めの吹き抜け空間』、外観アルミ・石の外装を有する『ランダムな大きさの縦ストライプのPC版』が特徴的な建物である。
建物の真ん中で形状を変え、柱抜けをしながら斜上する吹き抜け空間を創りたいということが、チームの問いであった。魅力的な空間が広がることが予想できたが、長期時の変形および地震時の耐震性、施工性、経済性に対してどう答えを出すかが構造設計者としての課題であった。
柱抜けの空間を構築しようとすると、地震時の水平力を受ける要素、長期・短期荷重を基礎に伝達する要素が不足することになる。逆に考えると、これらの代替となる要素を建物に適切に付加することができれば、建物を成立させることができる。そこで、材をいくつかの要素に分解し、ひとつひとつ積み上げた構造計画を練り実現しようと考え取り組んだ。
具体的には、吹き抜けが横断する範囲を建物中央部付近の4スパン以内(25.6m)というルールを設定し、構造部材を『長期抵抗要素』と『地震抵抗要素』に分けて考え、それらを建物に付加していくという考えで構造計画を進めた。長期抵抗要素としては、A.『斜梁、片持ち梁、吊材・束材』、B.『フィーレンディール+斜材』、地震抵抗要素としては、C.制震装置(オイルダンパー、座屈拘束ブレース)を設定した。
長期荷重に対しては、まず、吹き抜け周りの材を、A.『斜梁、片持ち梁、吊材・束材』にて構築した。吹き抜けを大梁等主材によって、大きく包含した後、吹き抜けを充填するように各材を取り付けた。つづいて、Aによって平面的に集めた荷重を断面的に基礎まで伝達させるた め、B.『フィーレンディール+斜材』を、建物中央部付近の2スパン、5階~10階にて形成し、吹き抜け上部および下部の荷重を短スパン方向のCFT柱に伝達させている。
地震荷重に対しては、柱・梁のみの本体架構にて十分な保有水平耐力を確保できるよう躯体を構築した後、地震抵抗要素Cとして、1、2階に『座屈拘束ブレース』3階、4階に『オイルダンパー』を、吹き抜けを覆うように配した。
結果、斜上する吹き抜け内に光があふれるダイナミックな空間を有した建物が完成した。
斎藤 慶太
/ 生年月日 /
1981年11月17日(茨城県生まれ)
/ 出身校 /
豊橋技術科学大学大学院
建設工学課程 修了
/ 主要職歴 /
2006年 株式会社アール・アイ・エー 入社
/ 主要作品 /
静岡駅前紺屋町地区第一種市街地再開発事業施設建築物 / 多賀城駅北地区第一種市街地再開発事業施設建築物(多賀城市立図書館) / 田辺市市立図書館