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第28回

業績賞

国内外のAND巡回展による構造設計(者)の顕在化と活性化への貢献

建築における構造、あるいは構造設計者の第一義は社会資産としての建物の安全性と経済性の向上をめざすことにある。その一方で建築の持つ空間性、造形性、機能性を建築家と積極的に協同することにより、あるいは構造技術の潜在的ポテンシャルを創意工夫しながら引き出すことによって、より高い次元で実現する構造デザインのあり方も要請されている。

こうしたテーマ性をひとつの言葉で表したものが「アーキニアリング・デザイン Archi-Neering Design(AND)」。ここには建築デザインと構造技術の融合・触発・統合への強い意識がこめられており、「イメージ」(求めるもの、想像力)と「テクノロジー」(つくるべきもの、実現力)を統合する相対的な“二つのベクトル”という理念が通底している。その視点から、古今東西の名建築や話題のプロジェクトを抽出し、そのしくみとしかけを分かり易く、かつ美しい小模型群として集めたものが「AND展」である。称して「模型で楽しむ世界の建築」展となった。2008年10月建築会館を舞台にして最初のAND展が開催された。8つのテーマを基に製作された模型の数は約150点に達した。


2008年~2015年のAND展及び巡回展-全国9会場・海外(台湾・中国)7会場-の準備と実施を通して得られた主な成果は次のとおりである。
1) 模型展により市民・子供に建築の魅力、構造の役割を分かり易くアピールできた。
2) 歴史的視点、今日的課題を示すことにより構造設計者の活性化を促した。
3) 模型制作や展示運営への参画が学生に対する教育的効果をあげた。
4) 全国巡回展によって地方の建築界―大学・学会・協会・企業の融合が計れた。
5) 海外巡回展によって文化的交流と日本の構造技術への関心が高められた。
6) JSCAの支援と会員の協力によって建築界におけるJSCAの存在を広く知らしめた。
AND展およびその巡回展(国内・海外)に当たっては各々いくつかの委員会がつくられたが、コアメンバー4名が当初より中心的役割を荷いながらAND展およびその巡回展全ての企画・運営に当たってきた。本業績賞への申請は、JSCA正会員である宮里がコアメンバーの代表として応募しましたが、具体的な活動は斎藤公男先生、佐藤慎也先生、広田直行先生のご指導のもと、国内外の100人を超える構造設計の楽しさに惹かれた人々に支えられて実施することができました。ここに記して、心よりお礼申し上げます。

宮里 直也

/ 生年月日 /
1975年6月15日 (宮崎県生まれ)
/ 出身校 /
日本大学大学院
理工学研究科建築学専攻 修了
/ 学位 /
博士(工学)
/ 主要略歴 /
2004年 構造計画プラス・ワン 入社
2008年 日本大学理工学部 助教
2013年 同 准教授
2017年 同 教授
/ 主要作品 /
唐戸ブリッジ / BTKギャラリー / バイオ・ストラクチャー / 3331千代田アートスクエア / 近畿管区警察局災害警備訓練施設

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