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第29回

奨励賞

豊中市立文化芸術センター

建物名称 豊中市立文化芸術センター
所在地 大阪府豊中市曽根東町
建築主 豊中市
設計者 株式会社 日建設計
施工者 大林組・河崎組特定建設工事共同企業体
建物規模 建築面積 6,624m² 延床面積 13,425m²
階数 地下1階、地上3階、塔屋1階
建物高さ 26.28m
用途 ホール・展示室
主要構造 RC造、RM造、SRC造、S造

本建物は大ホールと小ホールと展示空間の3つの要素から構成される複合文化施設である。市民の文化芸術活動が活発な豊中市に建つこの建物は、永年市民に愛された旧市民会館の建て替え計画であると同時に、隣接した既設のホールや公民館と一体となって市民が自然に集い留まれるような、親しみや包容力を有する建築とすること、またそこで市民の文化芸術活動が「誘発」されるような建築とすることが要求された。

これを実現するために、RM造で彩られる魅力的なエントランスピロティとオープンホワイエ空間を創り、そこを中心に大ホール・小ホール・カフェ・展示室などを配置する計画とした。構造材かつ意匠仕上げ材であるRM造の持つ組積造りの「力強さ」が人々を導き、温かみのある独特な表情が人々を包み込み・留まらせる。つまり、様々な目的をもった人々がRM造のオープンホワイエ空間を回遊し続けることで、文化芸術活動に偶発的に出会える仕掛けとした。
本建物はおよそ5万個のブロックを用いた国内最大規模のRM造建物である。またこれまでの汎用最大サイズの1.5倍厚さの大断面RMブロック(長さ540×高さ150mm×厚さ360mm)を開発することで、施工品質上、無理なくダブル配筋や継手・定着ができる納まりとし、RM造でありながらダイナミックな架構に挑戦している。2階回廊ギャラリー床はスラブをRM壁で直接支持する架構とし、3.15mというコンパクトな階高を実現している。屋上梁は 1.5mせいのRC逆梁とすることで、各RM壁を頂部にて強固に緊結しながらロングスパン化し、壁量が多く閉鎖的になりがちなRM造建物に開放感を与えている。エントランスピロティではRM独立壁長柱を設け深い奥行と迫力ある化粧打ち放し天井を実現し、多目的室などにはRM造の壁梁を用いて約8mの横長大開口を実現している。

しかしながら一般のRC造とは施工方法が大きく異なるため、設計および施工段階では安定した品質のRM造を実現するための課題を常に抽出し続け、モックアップや施工試験・構造性能実験を繰り返しながらひとつひとつを慎重に解決した。この大規模かつ大断面RM造への挑戦・実現によってRM造に新たな可能性を広げることができた。

下西 智也

/ 生年月日 /
1983年2月3日(大阪府生まれ)
/ 出身校 /
京都大学大学院 工学研究科建築学専攻 修了
/ 主要職歴 /
2007年 株式会社日建設計 入社
/ 主要作品 /
神戸市庁舎4号館(危機管理センター) / 兵庫県立尼崎総合医療センター / 関西外国語大学中宮キャンパス7号館 / 日本経済新聞社大阪本社ビル

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